主人公が唐突に空を飛ぶ、浮き上がる、とんでもないジャンプをする…。
皆さんはアクション映画でこのような場面を見たことはあるでしょうか?
これは俳優にハーネスを装備させ、ワイヤーで釣り上げる「ワイヤーアクション」という技術を使っています。
「ワイヤーワーク」とも呼ばれています。
一般の映画ファンに浸透したのは「マトリックス」でしょうか。
仮想現実の世界において繰り広げられるカンフーと、突飛なアクションは世界中に衝撃を与えました。これはマトリックスの監督ウォシャウスキー兄弟(2人とも性別適合手術を受けたことにより現在は姉妹)が香港映画から影響を受けて映画に取り入れたと言われています。
このマトリックス以降、ハリウッドのアクション映画ではワイヤーアクションが盛んに取り入れられるようになっていきます。
ワイヤーアクションの歴史は元々舞台の技術から始まりました。
ブロードウェイのファンタジー作品(ピーターパン)などで主人公が飛んでいるように見せていたのが始まりと言われています。その後は特撮映画などでワイヤーアクションが取り入れられていきましたが、それを発展させたのが香港のカンフー映画の世界でした。
中国には「武挟小説」と言われる小説のジャンルがあり、その小説の主人公たちは重力を超越した力を持つことが多かったのです。
それを映画で表現するためにワイヤーアクションを盛んに使うようになったのです。
ワイヤーアクションを得意とする監督としては、『英雄』や『妖刀斬首剣』などでその技術の美しさを世界に知らしめた「チウ・シウトン」がいます。彼はその後、「ワイヤーマスター」として広く認識されるようになりました。
当初は人力に頼り、ワイヤーによるアクションが人の動きのように見えるよう工夫されていましたが、デジタル技術等の発達により自然にワイヤーアクションを見せることが可能になりました。
映画を派手に見せるワイヤーアクション、これからも発達していくことでしょう。